地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
「あれ…?陸泣いて…るの…?」
杏樹が陸の顔に手を伸ばす。
目元に触れると、
「…やっ…ぱり……泣…いてる……」
と苦笑いした。
「……大丈……夫だ…から……痛みとか…ないんだ……よ…?」
陸の目元にある雫を拭い取る。
「…あ―……やっ…ぱり……眠…たい……よお……」
杏樹の目が、少しずつ…
閉じていく……………
「杏樹っ……!」
名前を呼んだ瞬間
陸の目元にあった杏樹の手が、
力無く、落ちた―――――――。
「…杏樹っ…!杏樹っ!
……………杏っ!!」
体育館中に、陸の杏樹の名前を呼ぶ声が響いた。