地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪


そんなに待ってくれてるのかな……





歩くスピードを速める。





ほとんど


走っている状態………





だけど

声に近付く度に、身体が温かくなっていく。




「こっちで合ってたのかな?」







走るスピードをさらに上げた。




会ってみたくなった。



優しい声の主に…………






暗い闇でも、その声だけは

温かくて優しい光になる。









暗闇に慣れた目が、誰かを見つけた。



迷わずに広げられた腕の中に飛び込む。




《やっと帰って来た……》

「えっ……?」



ギューっと抱きしめられる。



あっ………この甘い香り………



この人………知ってる………



忘れるはずがない………







「………………陸」





名前を呼んだ。
< 598 / 628 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop