地味子の秘密 其の壱 VS黒羽の大妖怪
「杏樹バイバ〜イ!今日も気をつけてね?」

「うん、ありがと。柚莉も帰り道気をつけてね!」

柚莉ともさよならをして、あたしは一人教室に残る。



放課後―――

あたしのクラスは、一時間もすれば人はいなくなる。

―そして、ここからはあたしの仕事の時間―――

まず、ぶ厚い眼鏡を取り、机に置く。第一ボタンまで締めてあるシャツとネクタイを緩める。
席を立って膝丈のスカートを折り、クラスの子と同じくらいの長さにする。
最後に髪のゴムを取り手で軽く梳く。

これで仕事スタイルの出来上がり。

これで何の仕事をするかというと……



「杏ちゃ―ん!!」

呼ばれて振り向くと
ギュウーっと小さな妖が抱き着いてきた。

「どうしたの?」

「杏ちゃんに会いたかったんだ。」

ニコニコしながらいうからキュンキュンしちゃう

この子は、藍鬼(ランキ)。
姿形は人とあまり変わらない。服だって着てるしね。着物だし裸足だけど。

人と違うってのは頭に一本角があること。
子どもの妖でこの学校に住んでる。
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