龍の世界
「何で───」
何でお兄ちゃんは
・・・死んだの?
何で私の隣にいないの?
「フッ、う゛・・・」
お兄ちゃんが残したもの達を見て、また涙が零れる。葬儀の時にあれ程泣いたと言うのに、涙は枯れる事を知らない
「う゛・・・ふ、ぅ゛」
こんなところで泣いたら迷惑だって分かってるのに、お兄ちゃんの生きた証が・・・・、私を大切にしてくれていた証が・・・・、涙を止める事を許してはくれない
「我慢しなくていいんだよ?」
フワリと俯く私の頬を撫でる温かい手
柳瀬さんだった
「黎雅も幸せだね。こんなに大切に思ってくれる家族がいて」
その温かい手と眼差しが、寸前で止めていた何かを壊した
「う゛、ぁぁぁッ、」
「おっと、危ない」
崩れ落ちた私を柳瀬さんが上手く支えてくれる。
私はそのまま座り込んだ。
「あ・・・何、でッ!?あん、なに・・・元気、だった、のにッ!」
柳瀬さんに促されるままその胸に縋り付いた
部屋には私の泣き声だけが響く
「ふ・・・ぅ゛ッ、何でッ?!何で、皆、私を置いて逝っちゃうのッ?!」
お父さんも
お母さんも
「もうお兄ちゃんしかいなかったのにッ……なん、でッ?!」
答えなんて返って来ないのは分かってる
でも、どうすればいいのか分からなかった
目の前の彼等にぶつけるしかなかった
もう不安しかなくて・・・
これからどうなるのか
突然放り出された社会で
たった一人遺されたこの世界で
私はどうすればいい?─────