龍の世界
*****
数日経ち、私はこの屋敷での生活に慣れつつあった。
色々と制限はされているけど、そんな苦労もしていない。
このままで良いのかと言われれば、良くはないと思う。
でも、今の私ではここから出てどうすればいいか分からないし、優しく見えてもここにいるのは本物のヤクザ。
普通の女子高生が、逃げられるはずなんてない。
初めは逃げ出そうとしてたのに…
私は確実にこの生活に慣れ始めていた。
*****
その日、学校から帰った私は夕食の後、宿題を片付けていた。
「麻綾、帰ったか?」
声を掛けて部屋に入って来たのは、明るい茶色の髪を軽く立てて、お洒落にスーツを着こなした藤堂晶人さん。
見た目は一般人でも、独特な雰囲気を持った人…
私のお世話係兼見張り役らしく、よく部屋にやって来る。
もっとも、藤堂さんは桜千会のお偉いさんで、忙しいらしく、普段は藤堂さんの部下の池島さんが傍にいる。
「藤堂さん。お疲れ様です」
「あぁ、池島。ご苦労さん」
藤堂さんは仕事の最中だったのか、普段は掛けない眼鏡を掛けて、手には書類が握られていた
「麻綾、今から出掛けるぞ」
気だるげに壁に寄りかかっている姿が絵になる…
美形の力は凄い
「今から、ですか?」
現在夜の7時過ぎ
外はもう暗くなっている
「あぁ。外に車が用意されてるから、行って来い。俺は仕事が片付き次第行くから。総司が玄関で待ってる」
「分かりました…」
「そんな不安そうな顔するな。ただお前に会わせたい奴がいるんだ」
「会わせたい奴?」
「あぁ…。じゃあ早く行けよ。総司は時間には煩いからな。池島、後頼んだぞ」
「はい」
頭を下げる池島さんを確認すると、藤堂さんは私の頭をくしゃりと撫でて、部屋を出て行った。
「じゃあ、行きましょうか。麻綾さん」
「はい」
池島さんに連れられて玄関に向かえば、湯川総司さんが、幾人かの部下に囲まれていた
湯川さんは藤堂さんと同じく、桜千会の幹部の一人だそうだ。
数日経ち、私はこの屋敷での生活に慣れつつあった。
色々と制限はされているけど、そんな苦労もしていない。
このままで良いのかと言われれば、良くはないと思う。
でも、今の私ではここから出てどうすればいいか分からないし、優しく見えてもここにいるのは本物のヤクザ。
普通の女子高生が、逃げられるはずなんてない。
初めは逃げ出そうとしてたのに…
私は確実にこの生活に慣れ始めていた。
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その日、学校から帰った私は夕食の後、宿題を片付けていた。
「麻綾、帰ったか?」
声を掛けて部屋に入って来たのは、明るい茶色の髪を軽く立てて、お洒落にスーツを着こなした藤堂晶人さん。
見た目は一般人でも、独特な雰囲気を持った人…
私のお世話係兼見張り役らしく、よく部屋にやって来る。
もっとも、藤堂さんは桜千会のお偉いさんで、忙しいらしく、普段は藤堂さんの部下の池島さんが傍にいる。
「藤堂さん。お疲れ様です」
「あぁ、池島。ご苦労さん」
藤堂さんは仕事の最中だったのか、普段は掛けない眼鏡を掛けて、手には書類が握られていた
「麻綾、今から出掛けるぞ」
気だるげに壁に寄りかかっている姿が絵になる…
美形の力は凄い
「今から、ですか?」
現在夜の7時過ぎ
外はもう暗くなっている
「あぁ。外に車が用意されてるから、行って来い。俺は仕事が片付き次第行くから。総司が玄関で待ってる」
「分かりました…」
「そんな不安そうな顔するな。ただお前に会わせたい奴がいるんだ」
「会わせたい奴?」
「あぁ…。じゃあ早く行けよ。総司は時間には煩いからな。池島、後頼んだぞ」
「はい」
頭を下げる池島さんを確認すると、藤堂さんは私の頭をくしゃりと撫でて、部屋を出て行った。
「じゃあ、行きましょうか。麻綾さん」
「はい」
池島さんに連れられて玄関に向かえば、湯川総司さんが、幾人かの部下に囲まれていた
湯川さんは藤堂さんと同じく、桜千会の幹部の一人だそうだ。