龍の世界
第一章 【形見】
新体操の練習を終えて、すっかり日も落ちた夜の中を、制服姿で大通りを歩いていた時…
ポケットの携帯のバイブが鳴っていることに気付いた。
ディスプレイには
“お兄ちゃん”と出ている。
今日は帰らない言っていたが、何かあったのかと、携帯の通話ボタンを押した。
「はい、もしもし?」
聞こえて来るはずの声は聞こえて来なかった。
変わりに聞こえたのは…
私は自分の耳を疑った
「お兄ちゃんが・・・」
死んだ……?