龍の世界
【予感】
*****
屋敷の門の前で車が停まり、ドアが開けられると出迎えていた人が傘を差してくれた。
「幾斗ッ!麻綾ッ!」
車から降りた私と幾斗に走り寄ってきたのは柳瀬さん。
「柳瀬、さん…」
傘も差さず走って来たせいで、柳瀬さんの色素の薄い髪が顔に張り付いている。
「本当に無事で良かったよ。さあ、中に入って体温めないと。冷えきってるよ」
柳瀬さんは、私と幾斗の肩に手を置いて促した。
屋敷に入り、柳瀬さんは部下の人に呼ばれてしまったため、幾斗と二人きりになった。
「……麻綾」
「何?」
幾斗の声に振り返る。
幾斗は自分の耳に手を伸ばし、何かを差し出してきた。
「手、出せ」
「手?」
言われた通りに差し出すと、ポトッと幾斗の手から何かが落とされる。
「ピアス?・・・」
それは紅い雫石の綺麗なピアス。
「お前にやる」
「でもこれ…」
いつも幾斗が付けていたもの…
屋敷の門の前で車が停まり、ドアが開けられると出迎えていた人が傘を差してくれた。
「幾斗ッ!麻綾ッ!」
車から降りた私と幾斗に走り寄ってきたのは柳瀬さん。
「柳瀬、さん…」
傘も差さず走って来たせいで、柳瀬さんの色素の薄い髪が顔に張り付いている。
「本当に無事で良かったよ。さあ、中に入って体温めないと。冷えきってるよ」
柳瀬さんは、私と幾斗の肩に手を置いて促した。
屋敷に入り、柳瀬さんは部下の人に呼ばれてしまったため、幾斗と二人きりになった。
「……麻綾」
「何?」
幾斗の声に振り返る。
幾斗は自分の耳に手を伸ばし、何かを差し出してきた。
「手、出せ」
「手?」
言われた通りに差し出すと、ポトッと幾斗の手から何かが落とされる。
「ピアス?・・・」
それは紅い雫石の綺麗なピアス。
「お前にやる」
「でもこれ…」
いつも幾斗が付けていたもの…