龍の世界


「これ…大切なものなんじゃ・・・」



入院していた時も、外しているのは見たことがない

きっと大事な物なんだと思う





「お前、ピアスホールあいてるだろ」


「あいてるけど・・・」


「いいから付けとけ」




話は終わりだとばかりに、琉伊はさっさと屋敷に入って行ってしまった


私はどうしようか、その背中と手元のピアスを見比べた








*****








「あーあ・・・制服ベタベタ」



部屋に戻り、着替えを持ってすぐにお風呂へ


制服のジャンパースカートは、雨で水気を吸い、重くなっている




床に脱ぎ捨てれば、ベシャリと音がした










私は素早くシャワーを浴びて、赤のワンピースに袖を通した




先程貰ったピアスも早速右の耳に付ける







私の長い黒髪の隙間からチラチラと赤く輝いていて、シンプルなのにとても存在感を示している







「本当に良かったのかな・・・」




でもあの様子じゃあ、返しても受け取らないだろう

この際貰えるものは貰っておこうと、私は髪を乾かしてから浴室を後にした










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