龍の世界
*****


「「「「お疲れ様でした」」」」






練習が終了し、私は着替えてクラブを出た。











「見て、あの人また来てる!」


「超格好良いよねー」




バイクにもたれ、煙草を加える姿は、女の子達の視線を総なめにしているが当の本人は全く気にした様子はない。









「また煙草吸ってる…」




私は女子の集団を抜け、幾斗に近寄った。










「幾斗、煙草吸い過ぎよ」


「最初の言葉がそれかよ」



幾斗は煙草を携帯灰皿に入れた。




「ほら…」



琉伊に渡されたのは、ピンクシルバーのヘルメット。
顔の部分はフルスモークになっている。
以前藤堂さんがくれたものだ。








私は鞄を斜めがけにして、ヘルメットを被り、幾斗の後ろに乗ると、幾斗がエンジンを慣らし、バイクのエンジン音が辺りに響いた。




私は幾斗の体に手を回し、ぎゅっと力を入れる。




それを合図に、幾斗がアクセルを回した。









女の子の視線を受けながら、私達はその場を走り去っていった。



















「幾斗、コンビニ寄ってね。藤堂さんに買い物頼まれてるの」


「頼まれて無くたって寄るだろうが」



そう言いながら、きちんとコンビニに立ち寄ってくれる。





「幾斗だって好きじゃん。えっと…藤堂さんがハーゲンダッツのドルチェで、真鍋さんがスーパーカップで、田嶋さんが・・・」




コンビニにアイスを買うだけなのに何故か万札をくれた藤堂さんおつりは適当に使っていいって言っていたが、普通に考えて万札を渡すのはおかしいと思う。


お使いだけではお釣りが多いので、私は幾斗のアイスと自分のアイスも買った。

残りは毎日の練習後に、幾斗とアイスを買う分に有り難く使わせていただこうか。





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