龍の世界

「何で・・・・、ヒクッ、お兄ちゃん、ヒクッ最低だよ・・・フッ、明日、ヒクッ、誕生日、なんだよ?・・・全、…然、ヒクッ、嬉しく、ない、じゃん・・・・」


嗚咽が溢れて言葉にならない
声は震えるし涙は止まらない





「ヒクッ、ハァハァ、う゛…フッ、ゥ゙…」


心が痛くて、体真っ二つに裂かれたような衝撃


私は血が滲むほどの力でシーツを握り締めた。
















「あまり力を込めては傷が残ってしまいますよ…」



強く握り締めたせいで血の巡りが悪くなり、冷たくなった私の手に、温かな感触。次いで優しげな声。



真っ白な世界から一気に現実に戻された










「だ、れ・・・」

振り返れば何人か人がいた。みんな泣き声を抑える事もしないで、大声で泣いている。



「私はあなたのお兄様の友人です」

「お兄ちゃん、の?」

「はい」


そう言って流れ続ける私の涙をそっと指で掬った

しかし彼の目も真っ赤に充血して、潤みきっていた


「きっと彼もとても心残りでしょうね。あなたの様な妹を遺して逝かなければならないなんて・・・・」


彼の瞳から雫がスッと落ちた


それを見て再び実感する



お兄ちゃんがもうこの世にいないと言う事実に・・・



「ハァ、ハァ、あ…ぁ゛・・・ヒクッ」


嗚咽をもらし始めた私を、その人は抱き締めた

私の頭を自分の胸に押さえ付け、強く、痛いぐらいに抱き締められた






「泣きなさい。今だけは・・・彼にあなたの悲しみをぶつけてやりなさい。そして後悔させてやりなさい。あなたを遺して逝った事を」



「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁあッッッ!!!」











私は無我夢中で抱き締めるその人の服を握り締めて泣き叫んだ


体の機能全ての力を、泣く事だけに使った






泣いても泣いても泣いても悲しさは消化されず、喉が潰れるのも気にせず泣き続けた







ただ本能のままに…







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