先生とあそぼ
そして光輝はというと、
凛をさらにきつく睨み付けたかと思うと不意に凛の胸倉を掴む手を離した。



「ふんっ、バカバカしい。
あんたとこんなこと話してても仕方ねぇし。帰るわ」



「は? 光輝?」



あまりにもあっさりとした退き方に、おれは肩透かしを喰らってしまう。



そして、凜の腕を振り払い、凜から離れた光輝はきょとんとするおれを振り返り、


「流架、悪かった……」



光輝はそう一言だけ呟くと、本当にそのまま去って行った。



なんだ?
なんであんなあっさり?



でも、そう言った光輝の目はすごく悲しそうで、その表情におれのそれまでの怒りや、悲しみが吹っ飛んでしまいそうな程だった。




光輝が去って行った方をぼんやり見つめながら、さっきまでの出来事を思い返していた。




友達だと思っていた奴からの突然の告白。





なにかが切れたかのように、おれを襲った光輝。



あの鋭い目でおれを見た光輝の表情には今でも恐怖をおぼえる。



怖かった……。

光輝が光輝じゃないみたいで……。




光輝がおれにしたことは、とても許せる行為じゃない。





でも……。



光輝はおれの親友。



ずっと一緒にいて、飽きない奴は今までいなかったから、光輝を失うのは嫌……なんだ。


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