先生とあそぼ
「お、珍しい。素直に聞き入れるんだ。
そうだな、流架からキスして」

「は!?」

「そういえば、することはあっても、してもらったことはないなと思ってな」

「嫌だ!!なんで俺がそんな事……!!」

「だから、お仕置きだろ?」

「……」

……なんか違う。

絶対に、何かが違う気がする……っ!

だって!

すでにおれはこいつから、かなーり恥ずかしいお仕置きを受けたのに……!
なのに、なんでまだ!?

「別いいじゃねぇか、減るもんじゃねえんだし。俺ってジェントルマンだな」

くっ……。
確かに助けてもらったし、多分心配もかけた。

不本意だけど……、ものすごく不本意だけど!

ちゅっ。

おれは凛の唇に、触れるか触れないかという極めて軽いキスをしてやった。

「こっ、これでいいだろ!?
してやったんだから早くどけよっ」

組み敷かれたまま顔を真っ赤にさせて、凛から目線をそらす。

初めてのことじゃないにしても、自分からするのってすごく恥ずかしい……。

「……」

何の反応も示さない凛を不思議に思って、ちらりと横目で見てみると、凛は目を見開い
てものすごく驚いたような顔をしていた。

「な、なんだよ……?」

視線を凛に戻し、正面から見つめる。

「いや、かわいいことしてくれるなぁと思って」

「は?なんでそこでかわいいってことになるんだよっ」

「かわいいだろ?
そんな子どもとするようなキス」

凛がおれの上から身を離しながら、くすくす笑ってそんなことを言ってきた。

「こど……っ!?」

くっそ~!!
おれの精一杯の努力を子どもだなんて……!

どーせ、大人な凛先生にはかないませんよーだ!!

ったく、相変わらず失礼なヤツだな!
でも……。

こんなヤツだけど、おれは、こいつのことが好きなんだよなぁ。

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