BLACK DIAMOND
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開店と同時に店の中は賑わい始め、遅番の人達と交代する時間に近づくと、皮肉なことに時間はゆっくりと流れ、お客様の列が出来始めた。
レジにはレジスターの数だけスタッフが入り、とにかく捌く……に近い状態が出来上がる。

いらっしゃいませ、と言ったかと思えば、ありがとうございました、と言って会計をひたすら行う。だんだん疲れてくると酸素が行き届いていないのか、金額を読み間違えたりする。モニター上の数字を読み上げるだけなの簡単な作業のはずなのに、お客様を待たせているという焦りもあるのだろうか。

忙しいけど、これが売上なので嬉しい悲鳴と言わざるを得ない。


「ありがとうございました、またお越しくださいませ」

スピードと正確さが求められる清算に、丁寧さが必要なのは、おそらく人だからなのだろう……最近はそんなことも思うようになった。

途切れたお客様の列は、またいつ出来るか分からない。


「はぁー……(小さい袋を補充しなくちゃ)」


レジの下にある補充の山から1つ取り出し、ハサミで包装を開ける。
ハサミを引き出しの中に仕舞い、いつもの指定席に袋の束を置いた。






「Excuse me?」


ハサミと袋に気を取られていた私は、お客様が声をかけて下さるまで気がつかなかった。

「I'd like to buy some foriegn books」

お客様は少し困った顔しながら、その低すぎない綺麗な声で私に再び尋ねてきた。
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