先生の秘密
夏休みが終わり、2学期がやってきた。
我が校は2学期のスタートを機に、とある重要なイベントの準備に取り組むのが通例となっている。
9月の最終土曜に行われる体育祭だ。
「今年の組分けはこの通り。うちのクラスは赤組です」
私たち3年生にとっては参加できる最後の学校行事である。
必然的に気合いが入る。
学校行事としては来月の終わりに文化祭もあるが、文化祭は2年生がメインで運営するのが我が校の決まりだ。
受験生である3年生はお客さんとして楽しむことになるため、勉強の息抜きとして気楽に構えている。
我が校の体育祭はポイント制のチーム戦。
各競技の成績に加えて、芸術点が加算される。
芸術点は、応援団、衣装、マスコット、団旗の評価でポイントが決まる。
そしてこれらは我々3年生が作ることになっている。
これから体育祭まで、朝7時から放課後18時まで学校での作業を許可されている。
係の分担は、夏休みの特別講習の間に決定した。
私と茜は団旗作成係だ。
チームカラーにちなんだ大きな旗を製作し、体育祭当日に校舎に吊るして展示される。
そしてそのクオリティ評価がされ、ポイントとして加算されるのだ。
学園生活最後ともいえるイベント。
思い出に華を添えるべく、目指すはもちろん優勝だ。
「さくら、準備行くよ」
「うん」
私たちは作業場所に与えられた空き教室へ、意気揚々と移動する。