先生の秘密
聖職、教師。
この仕事に就くには、淳一の本質は少し不真面目だと思う。
私と出会ったのは海でのナンパだったし。
暇な日はパチ屋に一日中篭るし。
お酒を飲むとエロくなるし。
そんな淳一が教師になるなんて、付き合っているときはリアルに想像できなかった。
でもちゃんとやってるんだ。
授業をやって、テストの問題を作って、成績表を書いたりして。
立派に、教師をやっている。
この日の放課後、私は自ら中山を遊びに誘った。
「ちょっと付き合ってほしいとこあるんだけど」
「椿さんになら、どこまででも付き合うよ」
「この間連れてってくれた、バッティングセンターに行きたいの」
中山は不思議そうな顔をしたけれど、「いいね」と喜んで付き合ってくれた。
遅い球を選んで、狙ってバットを振る。
なかなか当たらないけれど、バッターボックスに立っている間はそれだけに集中する。
「速く振らなくていい。ゆっくりでいいから、当てることに集中して!」
「うん!」
中山にアドバイスをもらいながら、計60球。
まともにヒットできたのは、たったの5球だった。