先生の秘密
朝、登校時。
私たちの高校では、毎朝三人の教師が校門で生徒を迎えている。
三人の組み合わせはベテラン、中堅、若手。
始業式の翌日から、淳一がさっそく若手ポジションでこの役目を担っている。
話しかけるなと言われたが、皮肉にも毎朝ここで顔を合わせ、挨拶を交わすことになってしまった。
「おはよう」
「おはようございまーす」
学校に近づくと、淳一の声が聞こえてくる。
もちろん他の教師の声もするのだが、耳が勝手に淳一の声ばかりを拾おうとする。
「おはよう」
「おはよう、おっくん」
「先生と呼べ」
「おっす、おっくん」
「おっすじゃない! 先生と呼べ!」
淳一は生徒に「おっくん」というあだ名をつけられ、早くも大人気だ。
主に男子生徒にイジられ、みんなを楽しませている。
見た目も若いし、年齢の隔たりを感じない。
それに、淳一は童顔なだけではなく、まあまあカッコいい。
女子からの人気も、ないわけがない。