先生の秘密

校長室に入るのは初めてだった。

広めの部屋に大きなデスクと立派な応接セットがあって、校旗や何かの優勝旗、トロフィーなどが飾られている。

そしてそこには、白髪で恰幅のいい校長、そして校長よりも若く、黒髪でスリムな理事長がいた。

「みなさん、座ってください」

理事長に従い、私たち4人は応接セットのソファーに座った。

校長と理事長は、向かいに座った。

「椿さくらさん。なぜここに呼ばれたか、わかっていますね?」

校長がやさしく尋ねる。

「はい。私が、奥田先生のお宅にお邪魔した件ですよね」

私が答えると、理事長がパソコンをこちらに向け、例の動画を再生した。

動画には、私が淳一を支えながら部屋に入る様子が収められていた。

そして、中野先生がインターホンを押す姿、私と中野先生が二人で部屋を出る様子をとらえた画像も見せられた。

一言で言えば、よく撮れていた。

中野先生が言った通り、なかなかの画質だ。

最近のスマートフォンは怖い。

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