先生の秘密
メールのタイトルは、下世話な週刊誌に倣った悪意あるものだった。
【奥田淳一】生徒お持ち帰りで中野敦子と修羅場
送り主の意図がよくわかる。
とにかく淳一の評判を地に落としたいのだろう。
一通りデータを見終わると、理事長がパソコンを閉じた。
「椿さん、あなたを責める気はありません。ただこのことについて、正直に説明をしてほしいのです」
校長が優しい顔で促す。
私たちには何もやましいことはない。
私は自信をもって、正直に語った。
「この日、私は体調が優れなくて早退しました。保健室の先生に確認していただいたら確認できると思います。駅に行ったら奥田先生がベンチに倒れてて、驚いて、病院に連れて行きました」
二人の視線が痛い。
穏やかな顔をしているが、心の中はどう思っているかわからない。
「なるほど。それで、奥田先生のご自宅まで行った経緯は?」
「病院を出ても、熱でまっすぐ歩けていなくて……道端で倒れるかもしれないと思って、家まで送りました」