先生の秘密
それからしばらくクラスの笑い話で盛り上がり、笑顔で担任を送った。
玄関で母が深々と頭を下げていたのが印象深かった。
「明日からまた、学校行くね」
母にそう告げると、母は笑って「短い反抗期だったわね」と笑った。
それから二言三言の冗談を交わしたのだが、私が欠席を繰り返したことについて「何とも思ってない」という態度とは裏腹に、表情は安心したように見えた。
私の両親は、一人っ子の私に対して偉そうにしないし、弱さも見せない。
高校生になってからはあまり小言も言われなくなったので、比較的淡白な親なのだと思っていたけれど、今回の子とで私はちゃんと見守られているのだとわかった。
部屋に戻り、放っておいたメッセージアプリを開く。
茜と雄二はもちろん、他のクラスメイトからもメッセージが届いていて、私はまた少し泣いてしまった。
【明日は学校に行くよ】と、みんなに返信していく。
ズル休みだったのに、心配かけて申し訳ない。
返信しいるうちに、とても悪いことをした気になった。
明日学校に行ったら、みんなとたくさん話そう。
私はそう決めて、いつもより早く床に就いた。