先生の秘密
昼休み、私はふたたび校長室に呼び出された。
担任と二人で入室。
今日は校長一人で、理事長はいない。
私はここで、淳一に処分はなかったことの説明、そして卒業までは挨拶以外の接触をしないよう注意を受けた。
淳一には、私が卒業するまで3年生のフロアへ立ち入ることを禁止したそうだ。
むろん、私と接触させないためだろう。
淳一を悪者にしていることには納得できないが、彼の立場をこれ以上悪くしないために、私はただ頷いた。
「卒業まであとわずかです。受験も近いですね。残りの高校生活が有意義であることを願いますよ」
恨めしい気持ちは捨てきれないけれど、私は素直にお礼を述べて校長室を出た。
淳一との再会以来、私はずっと思い荷物を抱えているような気持ちだった。
私たちの関係が知られ、第三者に裁かれたことで、私はようやく思い荷物を下ろすことができた気がする。
それから私たちは、ほぼ受験一色の生活になった。
雄二と一緒に過ごすときも、勉強ばかりでどこかへデートすることはない。
クリスマスも学校で補習授業だった。
受験生カップルに遊んでいる暇はない。
私たちの関係をデーティングと位置付けてきたけれど、もはやスタディングと言うべきだろうか。
年明けは、みんなで合格祈願のために初詣した。
私のおみくじは中吉で、微妙な結果に受験が怖くなった。
茜と雄二は大吉だったから、うらやましい。