先生の秘密
3学期が始まると、あっという間にセンター試験の日が来た。
2月に入ると、目まぐるしく入試を受けた。
驚くほどの速さで時間が過ぎていく。
先に茜、数日後に私も第一志望校への進学が決定。
私たちは、もう卒業するだけということになった。
雄二は国立大志望のため、合格発表は卒業式の後になる。
あれ以来、私は淳一を一目たりとも見ていない。
遠目に見かけてすらいない。
本当に処分はなかったのかと疑ってしまうほど、存在を感じられなくなった。
一度だけ放送で、「奥田先生、奥田先生、職員室にお戻りください」と呼び出されていたので、変わらず学校にはいるのだろう。
前は嫌というほど彼の存在を感じていた。
もしかしたらそれは、淳一が意識的に存在をアピールしていたからかもしれない。
……というのはさすがに自意識過剰だろうが、本当に私との接触を避けたければ、ここまでできたはずである。
しかし彼はそうしなかったのだ。
今さらそのことにときめいたところで、もうどうしようもないのだが。