一夜の物語
グロい光景がうかぶ。


「もげねぇよ。」


カチャ


……かちゃ?


「これはお面。」


怖い、鬼の形相の下から現れた顔は……。


驚くほど綺麗な男の子の顔だった。


その顔は口角を僅かにあげ、意地の悪い笑みをうかべていた。


細いつり目が私をしっかりとらえている。


「鬼……じゃない?」


「鬼だよ?」


鬼はその綺麗な唇をわたしの耳元に寄せる。


「恐くて非情な鬼山の鬼は俺のこと。」
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