一夜の物語
「だ……だから何?私を喰おうってわけ?」

殺るならさっさと殺りなさいよっ。


焦らされるのが一番やなんですけどっ!


「はやく殺んなさいっ!」


「殺る?殺られたいの?」


「死ぬ覚悟はいつでもできてんのっ!だから別に恐くないっ!」

どうせ生きてても何もないんだ。


あの家に帰っても……いいことなんて無いっ。


気づくと鬼はじーっと興味深げに私を見ていた。


そしてニヤリと笑う。


なっなんか……怖いっ。


「死に急ぐやつほど、喰えないやつはいないぞ?」


「?」
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