一夜の物語
「俺?俺に名前はないよ?」


「じゃあどう呼べッていうのよ?」


「そう言われてもなぁ。」


鬼は困ったように上を見上げ、月をみた。


月明かりで鬼の綺麗な顔が照らされる。

なんか綺麗。


夜が似合うなぁ。


「夜鬼(やき)。」


「ん?」


鬼がこちらに目をむける。


「私、あんたを夜鬼って呼ぶ。」


夜に出会った鬼。

略して夜鬼。
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