一夜の物語
「大丈夫だよ。落ちても受け止める。」

なんで自信満々なの?

私は二人とも落ちるイメージしか浮かばないっていうのにっ。


「ほらほら、はやくっ。」


「んんーっ。」


仕方ないのでゆっくりそうっと腰をおろす。

枝が僅かに揺れた。その揺れにビックリした私。
「ひぃやぁっ。」

と変な声がでた。

夜鬼はクックッと笑ってる。


「わっ笑わないでよっ。」


つるっ。


あ、ヤバい。

大声を出したとたん、足が滑った。

落ちるわ。

死ぬわっ。


だめだめだめぇっ。

墜落死が一番やだぁっ。


ガシッ。


落ち………………………………………………ない?

すぐ横に夜鬼の逆さまの顔があった。

「……本当に落ちんなよ。」


「夜鬼……。」


夜鬼の今の体勢凄い。

夜鬼は足を枝に引っ掛けたまま宙ぶらりんになって私をつかんでくれていた。

なんと素晴らしい身体能力。


これって、やっぱり鬼だから?
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