一夜の物語
それから何時間たっただろうか。
私は一通り泣くと、顔をあげた。
上げるとそこには、じぃっとこちらを見つめてくる鬼の顔が……。
「泣いたか?」
私は鼻をすすった。
「うん。」
「人間はいつだって泣き虫だ……。恥じることはない。」
「うん。」
私は俯いた。
「ねぇ。夜鬼……。」
「ん?」
「ちょっと話していい?」
「話したければ、話せ。それで葉月がいいのなら……な。」
さりげない優しさ。
夜鬼の言葉はいつも温かい。
「じゃあ……。話す。」