一夜の物語
「私はなにもかも失った。
悲しかったよ。
とてつもなく。
だけど、生きようって決めたの。
悲劇のヒロインなんて一番嫌いだったし。
とりあえず、皆のぶんまで生きようって……。
そして私はあの家にひきとられた。
叔父さんの家に……。」

それからだ。

私が自分の居場所は無いと悟ったのは……。

「叔父夫婦は最初は優しくしてくれた。
私も大好きだったから……。
だから、彼らにお世話になろうって決めたの。
でも知らなかった。
叔父さんたちは……。お父さん、お母さん、妹の保険金が目当てだったの。」
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