一夜の物語
今、思えばそれは当然のこと。


人間なんて醜い生き物だ。

お金目当てなんて、なんで私は気付かなかったんだろう。


「1ヶ月して、叔父さん達は変わった。
私に……暴力をふるうようになった。」

ダメだ。
声が震える。

また……怖い…。

お金がなくなると彼らは変わった。
怒鳴り声。
降ってくる拳。

奴らの全てが怖くなった。


「葉月……。」


「私……。逃げてきたの……。逃げて、鬼に、夜鬼に殺されようとした。」


言葉にして分かった。
私……夜鬼を利用しようとしたんだ。


「夜鬼……。ごめん、ごめんね。」

こんなにも優しいのに……。

私は、私は、それでも……。

「ねぇ、夜鬼……。やっぱり……私を殺して。私……この先なにも無い。生きてても幸せなんてない。」


私は夜鬼の袖をつかんですがった。

なんて私は惨めなんだろう。
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