一夜の物語
「夜鬼……。」


名前を呼ぶたび愛しくなる。

声をきくたび切なくなる。

これは立派な恋。


月を見ながら、私はいろんな思いにひたっていた。


ガサッ

ゴソッ


「?」


いま、なんか音が聞こえたような気がする。

ガサッ ガサッ

それは縁側の下からだと気づいた。

鼠……かな?


なんか、この家古いし。

夜鬼には失礼だけど。
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