一夜の物語
「やーきぃ。」


私は夜鬼に抱きついた。

「うわっ……と。どうした。なんでこんなところに?」

夜鬼は驚いているようだった。

戸惑いながらも私の肩をしっかりと抱く。


「ちゅー、ちゅーでわーわーしたらガラッてぴちゃぴちゃぷんぷんふぇーん……。って……。」

「擬音語で説明されても困るぞ。」

分かってるよっそんなことっ。

ちょっと安心しておかしくなってるだけっ。


「ぐっ偶然、縁側の下のここの存在に気付いたのっ。
だったから……。」

「降りちまったってやつか。」

夜鬼のため息が私の髪にかかった。

「ごめんなさいっ。夜鬼の秘密が隠されてる気がして。」

「秘密……ねぇ。」
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