一夜の物語
暫くして、夜鬼は私をおろした。

おろした場所はついさっき、私が立ち止まったあの広い場所。


「夜鬼、ここに何があるの?ここってなんなの?」


「……『鬼の腹』って人間は言う……。」

「なにそれ。」

「昔はここにたくさんの鬼がいたんだ。今は俺だけだけど。」

カランっと何かの音が響く。

夜鬼が動いたのかな?

「下水道じゃなかったの?」

クックックッと笑い声。

あぁ……。
違うんだ
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