一夜の物語
「けど、生への執着をもつ人間の内蔵はべつ。とくに心臓は……、柔らかくて凄く……美味しい。そして、とても綺麗だ。」

夜鬼の顔が近づき彼はとてもとても優しい言葉で囁く。


「ねぇ、俺が好き?愛してる?」


そう言われたその瞬間、涙が目からあふれでた。


いま、私は殺されようとしているのに……。


それでも、こうやって優しい声を聞くと……

それでも……愛しく感じてしまう。

怖い

逃げたい


でも、


「大好き……。夜鬼を……愛してる。」

< 73 / 80 >

この作品をシェア

pagetop