一夜の物語
「探しものは……これかな?」

あ……。

わたしの真っ赤な心臓は


どくん、どくんと脈うちながら


夜鬼の手にしっかりと握られていた。


私と私の心臓は、かろうじて動脈で繋がっている。

「か……え……し……。」


上手く声がでない。

手を伸ばそうとしたが、腕が……重い。
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