一夜の物語
「だーめ。」


そう言って意地悪な笑み。


その夜鬼の笑みが霞む。

目の前のものが全て霞んでみえた。


指先から温度が失っていってるのが自分でも分かる。


呼吸が徐々に苦しくなって、私は喘いだ。


「可愛いぞ。」


だんだんとまわりの音も失っていってしまうような感覚がした。

夜鬼の声が遠くで聞こえる。

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