カシスオレンジと波の音
「おい!お前ら、人の話聞け!」
低くて怖い声で怒鳴られた。
私達をにらんでいたのは、おじさん。
「ありえない。客にあんなこと言う??最低!」
千佳はすっかりご立腹。
明日香は、嫌いな人や興味のない人には全く無関心なタイプ。
文句も言わず、ため息をついていた。
あんな風に怖い顔しちゃってさ。
あの写真のように優しく笑っていれば、みんなも話を聞くのに。
「ここの天気は、すぐに変化するんで、黒い雲が近付いてきたらすぐにペンションに戻ってください。それでは、あと30分で夕食なので、庭まで来てください」
説明が終わり、部屋へと案内された。