カシスオレンジと波の音
「何かあれば、食堂にいるので声かけてくださいね!」
爽やか過ぎる笑顔を残し、大介君は去って行った。
「沙穂!狙ってんでしょ?」
千佳は私の顔を覗き込んだ。
「沙穂があんなに黙ってるってことは、ドキドキしてたんじゃない?」
「違う違う!!」
私は、部屋の窓を開けて空気の入れ替えをした。
「あ~!暑いからクーラー入れよ!」
明日香は私が開けた窓を閉めて、クーラーを強にした。
顔に当たる冷たい風が気持ち良い。
「千佳こそ、タイプなんじゃないの?」
私が千佳に聞くと、千佳は手を顔の前でぶんぶん振り回した。
「かわいいとは思うけど、タイプじゃない!!」
「私はタイプだなぁ、大介」
つぶやくようにそう言ったのは、彼氏持ちの明日香。
「彼氏に言いつけるよ~!浮気者っ!」
千佳は、明日香の肩に手を回しながら言った。