カシスオレンジと波の音
「女に頼むことはねぇよ」
低い声で、そう言った。
それは嫌味な感じじゃなく、女の子を大事にしているって言うか……
勝手な解釈だけど、この人は女の子の重い荷物とかを絶対持ってくれる人なんだろうなって思ったんだ。
「おい!お前ら!手伝え!!」
仕事をさぼっていたバイトの2人に、大声で怒鳴る。
大介とイケメン君が、おじさんの元に走ってくる。
食堂から別の男の子が一人走ってきた。
これまた結構かっこいい系の体の大きな人だった。
「佐倉さん、すいません!!」
さくらって言うんだ。
ふーーん。
どうでもいいけど。
私は千佳達の元へ戻った。
「沙穂、おじさんと何話してたの?もしかして口説かれた?」
「まっさかぁ!」