カシスオレンジと波の音
「またオヤジと話してたの?大丈夫?何か嫌なこと言われてない?」
心配そうな2人に、私は答える。
「ううん。何も嫌なことなんて言われてないよ。あの人良い人だよ!」
遠くから、どうしても探してしまう。
元気かな。
笑ってるかな。
寂しくないかなって。
寂しいわけないんだけど、なぜか心配になってしまう。
「お腹いっぱい!最高だね~!」
「食べた食べた!!」
食べ終えたお皿をテーブルに置き、ベンチに腰掛けた。
向こうから近寄って来たのは、俊吾。
千佳も明日香も姿勢を正して緊張気味。
「花火終わったら、話さない?」
首を真上に上げなきゃいけないくらい高い身長。
近くで見ると、より一層かっこよくて、芸能人かと思うくらいのオーラを放っていた。
食堂の横から、こちらを眺めている大介とたかちゃんの2人を発見。
そうか、女の子を誘う時は、俊吾が担当なんだ。
そりゃそうだよね。
俊吾に声を掛けられて、断る女の子っていないと思う。
「は、はい!!」
千佳が元気良く返事をする。