カシスオレンジと波の音
花火が配られて、俊吾のライターの火をもらう。
懐かしい火薬の匂い。
花火に照らされたみんなの顔。
ビーチサンダルの中に砂が入る。
俊吾は、いつの間にか私達の近くにいた。
最初にライターを使っただけで、それ以降は花火から花火へのリレー。
私は新しい花火を、俊吾の花火へ近づけた。
目が合う。
違う。
ドキドキしない。
さっき、あんなに遠くにいる佐倉さんと目が合って、ドキドキしたんだ。
俊吾でも、大介でも、たかちゃんでもなく……佐倉優斗が好き。