カシスオレンジと波の音




「お前、変なヤツだな」




「そっちこそ」




短い会話。





「あ!!」






私の線香花火の先っぽがポトっと落ちた。



すぐ後に、佐倉さんの花火も落ちた。




あんなに小さな火の粉なのに、消えると一気に暗くなる。




私は暗闇の中で、じっと見つめた。


佐倉さんは私を見ない。



だから、私は堂々と佐倉さんを見つめることができる。






自分に問いかけた。




どこがいいの?


どこが好きなの?





答えなんて出ないんだけど、時間が経てば経つほど、好きが大きくなっていく。






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