カシスオレンジと波の音
「この後、酒飲んだら許さねぇぞ」
私の線香花火も一緒にバケツへ捨ててくれた。
「飲まないよ。みんなで庭で話すだけ」
「アイツらの好みはだいたいわかるから。お前らのグループに声かけると思った」
少し笑ったような気がしたのに、暗くて顔が見えない。
「ねぇ、ライター貸して」
「いいけど、何?」
私はライターで、佐倉さんの顔を照らした。
「ねぇ、笑って」
「はぁぁ??お前ばかだろ」
「いいから笑って」
「笑うわけねぇだろ」
「いじわる」
「変なヤツっ!!」
笑ってくれた。
また一瞬だったけど、私の好きな顔だった。