カシスオレンジと波の音
「沙穂!!どこ行ったのかと思った!!」
千佳と明日香が私の両手を引っ張った。
「ごめんごめん」
私は、佐倉さんの元から離れた。
「あのオヤジ、沙穂がお気に入りなんだね」
千佳も明日香も誤解していた。
私が一方的に好意を持っているだけ。
佐倉さんは、私みたいなガキは相手にしていない。
きっと、綺麗な大人の彼女がいる。
あんな素敵な人なんだもん。
彼女いるに決まってる。
花火の後片付けをして、ペンションへと戻る。
私はまた目を閉じて、さっきの佐倉さんの笑顔を思い出す。