カシスオレンジと波の音
カシスオレンジ
先にペンションに戻っていたたかちゃんが、テーブルの上にお菓子やお酒、ジュースを用意していた。
俊吾を狙う女子グループが、テーブルの周りでうろうろしていたが、しばらくするとあきらめて部屋に戻った。
バケツの中の花火を片付ける佐倉さん。
俊吾が、佐倉さんに頭を下げて、お礼を言っているのが見えた。
こうして毎晩、お客さんの女の子と飲んでいるんだろうな。
佐倉さんは一緒に飲んだりしないのかな。
安っぽい白いプラスチックの椅子に腰掛ける。
「じゃ~!この出会いに乾杯でもしますか!」
私と千佳と明日香は、オレンジジュース。
俊吾と大介とたかちゃんはビールで乾杯。
私は、首を後ろにそらし、夜空を眺めた。
私達が住んでいる街よりも星の数が多い。
「星、きれい」
つぶやいた私の声は、誰にも拾ってもらえない。
千佳も明日香も、男の子との会話に夢中だった。