カシスオレンジと波の音
私は、佐倉さんのいる場所を常に確認しながら、話していた。
ホースを伸ばして、汚れたテーブルを洗ったり、花に水をやったりしていた。
「この中で彼氏いる人は?」
大介が、恋の話へと足を踏み入れた。
そこからは、好みの男のタイプとか、過去の恋愛とか、そんな話で盛り上がった。
「沙穂ちゃんのタイプ、変わってるってことは……佐倉さんとか結構好きなんじゃない?」
俊吾の発言に……
私は首を横に激しく振った。
「そんなそんな。まさか。年上すぎるよ」
千佳も明日香も、それはないよ、と笑った。
でも、私の視線の先には、いつも佐倉さんがいた。