カシスオレンジと波の音
「あぁ~!佐倉さん帰って来た!ダメですよ~!ぬけがけは~!沙穂ちゃんと何してたんっすか?」
酔っ払った大介が佐倉さんに絡む。
「お前には関係ねぇだろ。イイコトしてたんだよな?」
隣に座っている私に椅子を近づけて、肩に手を回した。
冗談で言っていることはわかっているのに、その冗談に合わせることができないくらい緊張して、ただ真っ赤になって下を向いた。
「おおお~!まじっすか?沙穂ちゃんのその顔見ると、まじで何かしてたでしょ?」
俊吾までそんなことを言って、千佳と明日香が顔を見合わせて心配そうな顔をした。
それから1時間くらいかな。
夢のような楽しい時間が流れた。
隣に座る佐倉さんが、話すたびに、かすかに香るカシスオレンジの匂い。
きゅんきゅんして、倒れそう。