カシスオレンジと波の音
「どうして……」
消えるような声。
佐倉さんをにらむ。
「大人をからかうと、痛い目に合うって言っただろ?ガキはガキ同士遊んでればいいんだよ」
どうしてだろう。
こんなに悲しいキスは初めてだった。
大好きな相手とのキスなのに。
遊び相手として、佐倉さんを選んだりしない。
夏の思い出を作るために、近付いたんじゃない。
好きだから。
気になるから。
そばにいたいと思うから……
一緒にいてドキドキしちゃうんだから仕方ないじゃない!!
「バカ!!!!」
私は、佐倉さんの体を思いっきり押して、食堂から飛び出した。