カシスオレンジと波の音
会ったばかりの佐倉さんが、今誰よりも信じられる。
この力強い手にずっとついていきたいと思う。
まだまだ子供な私だから、佐倉さんに似合う女の子になるには時間がかかるかも知れない。
「佐倉さ~ん!!私と結婚してくれる?」
走りながら、私は大声で叫ぶ。
波の音に負けないように。
風に飛ばされないように。
「いいよ。3年後、まだお前が俺を好きだったら結婚しようぜ」
カシスオレンジ味のキスをしながら、みんなから逃げる。
「沙穂、運命の出会いって思っていいのかな」
「うん。運命の赤い糸で結ばれてるんだよ!!私と佐倉さんは!」
つまづいてこけそうになった私を抱きしめてくれた佐倉さんは、そのまま砂浜に私を押し倒した。