カシスオレンジと波の音
「お、逃げるぞ」
砂まみれになった体で、私と佐倉さんはまた砂浜を走る。
真夏の海で出会った大人の男の人。
どこか好きなのか、わからないのに、いつも目で追ってしまっていて。
私がそばにいてあげなきゃって勝手に思ってしまう。
憎たらしいことを言うくせに、実はすごく優しい。
冗談じゃないよ。
きっと『運命』なんだよ。
だって、最初に佐倉さんの写真を見たあの瞬間、私の心に稲妻が走ったんだ。
佐倉さんと私が出会ったこの日が、ふたりの記念日になるように、これから先ずっと一緒にいられるといいな。
未来のことは誰にもわからないって言うけど、私にはわかる。
3年後も私は佐倉さんが好き。
たくさんの星の下、転んだ私の隣に佐倉さんも寝転んだ。
夏の恋がしたい!!って思って、この旅行に来て、私は一生の恋を見つけてしまった。
「やっぱりこのまま抱いちゃおっかな」
「え?」