カシスオレンジと波の音
「嘘だって」
砂の上で手を繋ぎ、星を眺めた。
「こんな風に、すぐに好きになったことは今までにない。だから、自分でもどうしていいかわからないんだ。でも、明日お前は帰ってしまうから、ちょっと早いけど…… 俺の彼女になってくれる?」
「はい!!!」
砂だらけの手で佐倉さんは私の頬に触れた。
「1日で好きになれるもんなんだな」
「私もびっくり」
「好きだよ」
「私も好き」
「帰んなよ。ずっとここにいて」
「いたいけど、無理だよ」
「わかってる」
「私、佐倉さんと離れたくないな」
「俺も」
「えへへ」
「気持ち悪いな、お前」
「だって嬉しいんだもん」