白衣の悪魔に首ったけ
瞬間、



「オイ。」



「へ?」



突然、呼ばれかと思うと、



「さっきから黙って聞いてりゃぁ…」



「えっ…」



バサッ!!



「へ?…キャッ!!」



あたしの被っていたタオルケットを無理やり剥ぎ取り、



眉間に皺を寄せながらガシガシと前髪を掻き上げ、



メガネを白衣のポケットに収めた先生。



「“バカ…”って…。お前、調子ん乗んなよ。」



「えっ?…って!!」



ズイっと近づいてきた顔の近さにビックリして…



「その“イジワル”で“バカ”な俺に惚れてんのは…どこのどいつだぁ?あ?」



「…っ!!」



その意地悪な笑みとコトバにドキっとしちゃって…



「オイ。聞いてんのか?」



「えっ…えと…」



先生が…



先生が…



あたしの目の前に…



ってか、“惚れてんだろ?”って…



“どこのどいつだ?”って…



………



「やっ!!」



あたしは目の前の先生からプイッと顔を背けると、奪われたタオルケットを返してとばかりにグイグイ引っ張った。



がっ、



「こっち向け。」



「やっ…」



先生はそんなこと許してくれなくて…



「俺を見ろ…ってんだよっ!!」



「っ!!」



あたしの顔を両手で挟み、



無理やり自分の方へと向かすと、



「こんな俺に惚れたのは“誰だ?”って聞いてんだけど?」



「………」



黙り込むあたしを見つめながらフッと小さく笑みを零した。

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